今月のおススメの一冊「心理分析とホロスコープ〜天文心理学序説〜」
「占い」の伝統を守っていきたいという方に読んでほしい本です。
伝統とは言え、「歴史」をテーマにした書籍ではなく、時系列で占いの歴史が年代と共に列挙してあるようなページはありません。しかしもちろんある程度はざっくりと説明がなされています。
まず第一部 第一章では、占術の歴史も含め今におけるスタンスについての問題提起があります。
占いとは何なのか、その非科学と言われる世界をどう現代社会で「健全に」取り扱うことができるだろうか―「おかしい、変わり者、眉唾物の世界」と言われながら、顔も名前も伏せた状態でしか関われないような世界では健全とは言えないでしょう―そんなホンネを冒頭から「かましている」語り口です。
占いの魅惑的なスピリチュアリティ、その上澄みのきれいな部分を通り越し、非科学ゆえにやみくもに攻撃の対象とされがちな核心的な部分へと、読者をまっすぐに引っ張り込んで、どす黒い問題部分はつい目をそらしたくなるところでもあるのだが、いっしょにまるっと直視してくれる著者の筆力は圧巻。
・・・これだけ書いて理屈っぽくない。重厚な横文字の学者や評論家の参考文献なども入れてこない。そのへんのおっさんと茶請け話でもしているかのようだ。。失礼!比喩でございまする。。
占い愛好家がおちいりやすい問題、現職の占い師がすでにおちいっている問題、現代社会の中ですでに占い業界がおちいっている問題というものを前面に出して、これらをどうしたものか?
著者なりに読者に課題を呈しつつ、自身の論説を打ち立てています。
本書をヒントに、私たち自身が占いそのものを「健全なスタイルで」守っていくことができるだろうと、本書を広く「占い」愛好家に、もっと言えば現職の占い師で、誤解や偏見の壁にぶつかりつつ、本当の姿を理解してもらえるのは至難だと試行錯誤しているような方皆さんにぜひ読んでいただきたいのです。
著者ほどの大家の書籍ゆえ、多くの人がとっくに手にされているのだろうと、強いて本書を紹介する機会なども作ってこなかったのですが、勝手に思い込んでいた嫌いもあるようです。
時代が移り変わる中で、どこかキャッチ―な占い本が主流になってきたようでもあり、そういう占いの活用法、オリジナルの工夫、魅せ方のテクニックに秀でた書籍もよろしいのですが、ええ、本当にいいと思います! 自分だって結構キャッチ―な仕事やってきてしまいました。
反面そういう書籍では決して触れられていない―そもそも書き手が学んでいない場合はもう致し方ありませんが―自分の本分はやはりそもそも論。たとえばタロットで言えば一枚のアルカナの意味とか解釈とか字面や表現ではなく、その「絵」でしょう。絵柄がどこから来ているのか、誰がどうやってどうしてこうしてとまあ長くなっちゃうんですけどね。まあそれはむしろ誰が書いても同じになっちゃうところかもですが。
書くか書かないか、素通りするか立ち止まるか、やるかやらないかという領分の話です。
占いの「そもそも論」を共に考えていっていただきたいなと思い至っております!
占星術、占星学、天文学・・・当たり前にスルーされている用語を、決してコンパクトにはしょって終わりにするのではなく、
平易な文体でわかりやすく解説されている点でまず必読書の筆頭に。
占星術師が、占星学より、先に来ているのはもうここはもう抑えねばですね。
ルネ先生のことばで解説しているので、ネットの「用語 キーワード」で検索にかけてヒットするような内容に、スッキリしない人にはまさにヒットすることうけあいなのかもしれません。
まあ読んでみて下さい☆彡 って少々お高めですが、一時期2万円台の値がついていたこともあり。
よろしくお願いします!0