講座後記
14時少し前に教室に入って、受講生のひとりの方が所望されていた伊泉龍一先生の直筆サイン入り訳書「シークレット・オブ・タロット」をお渡しする。大変お悦び頂けた模様。確かに、P.C.スミス愛好家の方にはむさぼるように読みたくなる秘話満載で、面白い!
本日の授業は小アルカナ人物札「CUP」の特集。先回のWANDの人物札の際に、ワンドの女王の絵札に描かれている黒猫について触れ、本日もまた「シークレット・オブ・タロット」で触れられている内容、すなわちスミス女史と親しい女性の娘さんとその飼い猫がモデルであったということも紹介しましたが、
結局その黒猫に限らず、ウェイト版の絵柄のパーツごとに「何故それがそこに描かれているのか」という明確な理由が記されている書物というものは一切出ていないのが実状なのです。
「愚者」の白い太陽が何、かばんが何、その中に入っているものは何、「皇帝」の赤、「法王」の赤、「恋人たち」の天使の羽の赤、そういうことに「正解」はないのだという話をまずガイダンスか何かでしますね、私は。絵柄のパーツそれぞれが何なのか、ウェイト版は、おそらく「どうとでも答えられるように」描かれているということを。
どうしても知りたくば、作者・作画家のウェイト博士、スミス女史に聞くしかないところで、その回答としての書籍が「THE PICTORIAL KEY TO THE TAROT」というウェイト版とともにウェイトにより発表された著作です。
ここにもあれこれシンボルを取り上げて何か単一のものとイコールで結ぶような表現は一切ありません。「魔術」は天の帝王アポロだと、書かれていますか? 書かれていませんね。
ちょっと魔術師を読んでみましょうか、
「この札は、神の反映である人間の神聖な原動力と、人間の意志を象徴したもので、人の意志は天上のそれと一体化する開放的な状態にある」
伝統的なアルカナ「魔術師」とはまた異なる、ウェイト版の「魔術師」についての主張は、文字を割いて書かれていてよく伝わってきます。このアルカナをどう解釈し活用できるかという、ヒントもちりばめられているかな。だから「THE PICTORIAL KEY TO THE TAROT」を読めばウェイト版がバッチリ理解できるという書物ではないけれども、絵に込められた作者の思いに触れる価値はあるでしょうから、ぜひお読み頂きたいのですね。訳文は日本タロット占術振興会の会員サイトで読めるようになっています。
繰り返しますが、絵柄のパーツそれぞれが何なのか、ウェイト版は「どうとでも答えられるように」描かれています。そのアバウトな「意味合い」、ケースバイケースで解釈をしてみればいわゆる最小公倍数的に表現が広がるでしょう、その漠然とモヤっとした中にも、一筋の強い確固とした芯=ウェイト氏の中での真理とカバラの教えがあること、その光が実際の解釈においては重要でもあります。
どうとでもとらえることができる絵柄であっても、そこからさらに拡散しわけがわからなくならないように、
またあまり絞り込みすぎると実生活に役立てにくくなるため、最大公約数的な解釈を、一緒に効率よく実生活にもいかせるように学びましょうというのが、井上の易道学校での授業スタイルです。
既存のタロット書も、今回紹介させて頂きました伊泉先生の御訳書も、すべて敬意を込め多くの参考にさせて頂いている次第です。
しかし世の中には対照的な輩がいるもので、「この本のあれは間違い、この本のこれは正しい」と、論評家気取りのあれ。一体誰からどこから何を学ばれているのだろう。別段この話を易道学校の授業の中ではしなかったが。
授業では早速メインテーマのCUPの人物札。王、女王、騎士、小姓の共通点、差異など特徴を抑え、テキスト読み、時間があったらSWORDにも進もうとしたが、微妙だったので実際の鑑定例の紹介、久々に時間通り16時終了。と思ったら終了後に鑑定例について、質問が寄せられまた授業再開みたいな。なんだかな。